里山倶楽部自然農場日記9月号 NO116

2018.9.24


彼岸花白

里山倶楽部自然農場日記9月号 NO116

 

先日友人に「雨が一滴も降らず畑の土がセメント状態だ」と話したら、その友人から次のようなメールがきました。

「その土地のありのままで手を加えないというのは鈴木さんの独り善がりでないのかな?作物の立場からいえばやはりフカフカの土が良く、また消費者にとっても「安全安心」は変わらないけど素直にのびやかに育ったものが良いと思う。私は肥料より土壌改良の方が植物に必要だしやさしいと思ってます。農場日記を見てるともう少し土壌改良は必要だと思う。ローコストで志向する農法を全うしつつ出来る土壌改良。コチコチの土では折角の野菜たちが可哀そうな気がする。」

 

私が友人に性急な土壌改良は気が進まないというようなことを言った返答です。なかなか的を得た助言です。

ただ無農薬農業に対する農家の考え方は千差万別。右から左、範囲がとっても広い。まず一番左の端には「自然農法」という考え方があります。その農法は一切の肥料等を入れず、畑に自生する草を緑肥として利用するだけ。また畝も不耕起で耕しません。その根柢には「人間が人間の力で土を変えるんだというような考え方は人間のおごりである…自然中心」というもの。また右の端には「人間は人間の力で土を思うように変えていくことができるんだ…人間中心」という、多く実践されている有機農業です。簡単に紹介しましたが、人間一人一人が違うように、また農家を百姓というように、右から左たくさんの無農薬農業のやり方考え方が混在しています。

では里山倶楽部自然農場はどうなのか。簡単に言ってしまえば基本的には自然農法の考え方です。だから「土を作る」とか「土壌改良する」という人間の力でねじ伏せるという考え方にはどうしても抵抗があります。では自然農法の緑肥だけで何もしないのかと言われればそんなことはありません。EM(有用微生物群)で発酵させたボカシを使いますし、一般的な牛糞や鶏糞も使います。ただ一度に大量の有機物は畑には投入しません。確かに友人の言うように有機物を大量に入れれば短期間に土壌改良できるのかも知れませんが、そのドラスチックなやり方が怖いのです。

こんな例がありました。

以前三重県で無農薬農業をしていたころのお話。

スイカを40本ほど定植しました。定植してしばらくするとその中の1本にアブラムシが発生しました。時が経つと養分を吸われたスイカは黄色く枯れていきました。すると次から次へと順番にアブラムシが発生し最後はなすすべもなく全滅してしまいました。その時の何もできずにただ見ているだけの悔しい思いは今も忘れません。村の人に言われました。「あんた、自分の子が病気になったら医者につれて行って薬をもらうやろ?なんで(農薬を)使わへんのや。信じられんは!」その言葉は今でも忘れられません。

皆さんだったらどう答えますか?

その時なぜ農薬を使わなかったのか?人間は大自然の前では何もできない。ただただ大自然を怒らせないように謙虚に行動するしかないと自分を納得させたのです。

もし人力ですべてが解決できるという不遜な考え方をもっていたらその時農薬を使ってしまったかも知れません。でもその時の辛い体験が今の私の農業を支えているのです。

話は戻りますが、友人の考え方はもっともですし、ほとんどの方は友人の意見に賛成されると思います。私の方が世間では異常なのです。でも異端者と指刺されようと20年間EM自然農法をやって来れたのも大地に対して謙虚だったからだと思います。これからもおごらずに大地と接していきます。

最後に誤解されても困るので弁解を一言。友人に「土がセメント状態だ」と言ったのはかなり誇張してます。固いという事を表現したのですが、10年前河南町に来て耕作始めたころに比べれば格段に良くなってますよ。

 

たまちゃんのつぶやき

 

お盆をすぎて、夏野菜はピークをすぎました。今年はとにかく暑い夏の中、がんばってくれていましたが、ピーマンも赤い実が増えてきたり、ミニトマトも収量が減ってきたり・・・きゅうりも木が古くなってきたので見た目はかわらなくても中が白っぽくなってきたり。赤とんぼも飛びだして少しずつ季節が動いています。

人参、キャベツ、ブロッコリー、早生の白菜など種をまきました。早速かわいらしい芽がでてきています。冬の準備スタートです。(8月16日)

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