里山倶楽部自然農場日記

2019.8.6


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里山倶楽部自然農場日記8月号 NO127

 

『日本の農業ほど「保護されていない農業」は、世界に類例を見ないのだ。

そんなバカな!と、思われた読者が多いだろうが、例えばアメリカが自国産穀物輸出のために、毎年1兆円を上回る「輸出補助金」を出していることを思い出して欲しい。アメリカの農家が輸出を伸ばしているのは、元々(国土的条件から)生産性が高いことに加え、政府が補助金を出し、輸出を奨励しているためなのだ。それに対し、日本の農家に対して、輸出補助金は出ない。

輸出補助金以前の問題として、そもそも農家の所得に占める「財政負担(要は税金からの支払い)」が主要国の中で最も少ないのが、実は日本なのである。欧米諸国は、どの国も唖然とするほどの財政負担を継続し、農家の所得をかさ上げしている。

日本の農業所得に占める財政負担の割合は15.6%である。それに対して、アメリカは全体で26.4%、穀物農家に対しては50%前後。欧州に至ってはフランスが90.2%、イギリスが95.2%、スイスが94.5%と、信じがたいほどの高水準になっている。

お分かりだろうか。欧州の農家が稼ぐ所得の90%超が、税金から支払われているのだ。ほとんど「公務員」と同じである。なぜ、欧州の農業所得に占める財政負担の割合が、90%を超えているのか。理由は簡単で、そうしなければ外国との競争に敗れ、自国の食料安全保障が崩壊してしまうためだ。日本同様に人件費が高く、米豪のように「広大な農地」に恵まれているわけでもない欧州諸国が、農業分野で外国と真っ向から競争すると、生産性の違いから敗北する可能性が濃厚なのである。

途中略

翻って我が国の場合、農協や農家の存在が「国家の安全保障」と密接に関わる点について、

どれほどの国民が認識しているだろうか。安全保障を全く考えないのみならず、多くの国民はマスコミから垂れ流される「間違った情報」をベースに、農協や農家を一方的に攻撃し、自らのルサンチマンを晴らそうとしている。

途中略

欧州やアメリカの農家の所得の大半が税金から支払われており、日本の農家が主要国の中で「最も保護されていない」という現実を知っているだろうか。

大多数の国民は知らない。知らないからこそ、無知な大衆と化し、レント・シーカーたちが声高に叫ぶ、「農業や農協は既得権益!」という、意味不明ではあるものの「ありがちなレトリック」に引っかかり、農協改革に賛成し、自らの食料安全保障を崩壊に追い込んでいく。・・・・以下略』

 

上記の文章は2015年に発行された、三橋貴明著「亡国の農協改革」(日本の食料安保の解体を許すな)より114ページ~118ページより抜粋させていただきました。

前月の続きです。なぜSさんはあのような「死」を迎えてしまったのでしょう。彼の死はとても複雑な問題が凝縮されていると思います。二つの側面、Sさん個人の問題と日本の農業の実態という側面です。

私は農業従事者は「食」という面から国民の命を守る「聖職」だと考えています。その聖職者に対してこの国の仕打ち、国民の意識。まさに滅びの構造です。日本では実際に農業を職としては成り立たなくなってきています。私のような一部の変わり者を除いて誰も農業をやろうという若者はいません。私のところに有機農業の研修に来た若者のうち何人かは、あまりの厳しさ(生活するための)にほうほうのていで去っていきました。むべなるかなです。

さらに農業に対する国民の意識の低さが追い打ちをかけています。何か天候不順で野菜の値段が上がろうものなら、マスコミを筆頭にまさに農家が悪いかのようなパッシング。本来そんな時は国が値段の変動を緩和するような政策をうつべきなのに、新自由主義が何か分かりませんが全くの無策。そういうことに気づかない国民は三橋さんのいう「愚民」としか言いようがありません。

 

そんな厳しい環境の中で、将来の日本の農業を背負うはずのSさんが犠牲になってしまった・・・本当に悔しいです。

 

お客様の声

 

美味しい夏野菜ありがとうございます。ズッキーニが大好きです。ラタトゥイユを作りました。

(Hさま)

 

パンダの生まれ変わりかと思っているくらい、タケノコ大好きなので、真竹のたけのこおいしかったです。                             (Mさま)

 

たまちゃんのつぶやき

 

きゅうりやトマト、ナスなど夏野菜がたくさんとれはじめました。オクラは今一生懸命大きくなってくれています。今年はいつもアブラムシがいるのに、そうではなくて、葉をくるっと巻く虫がついていて、見つけては手でとっています。そんな作業中、なんとなく今まで知らないような香りが…ん?と思ってくんくんと畑の中を歩くとそのにおいのもとは、アピオスの花でした。私の絵の力では描けませんが見た目はなかなかきれいです。でも何ともいえない香り・・・これを見て根っこのお芋を食べようと思った最初の人ってすごいなーなんて思いながら(笑)お届けできるくらいたくさんとれるといいなー。秋にとれるのでお楽しみに~

 

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