里山倶楽部自然農場日記6月号 NO137

2020.6.3


夕日

今月の農場日記は農場のスタッフとして協力して頂いている新田さんに特別に投稿していただきました。新田ポッキーさんは里山倶楽部の代表で、里山っ子倶楽部の主催者です。コロナと農業との関わり、今言われ出している9月入学式の問題点を彼の目線からどう感じているか是非紹介して欲しいと依頼したところ、快く応じてくれました。

以下です。

 

新型コロナウィルス対応の日々に思うこと。 自然農場のボランティアスタッフの新田ポッキーです。新型コロナウィルス対応で、主担当の里山っ子クラブの開催、4月は来年3月へ繰り延べ、5月も厳しい状況です。毎年受託していたなりわいの環境教育等の講師も4、5月はすべてキャンセルが入り、6~8月もほとんどキャンセルで、残念な状況です。そうした中、自然農場はというと、野菜作り、米作りは鈴木さん、内藤さんと私で、これまで通り粛々と汗を流し作業しています。雑草たちも変わらず超元気です。 外出自粛や休業要請に「農業」の話が出て来ない? この2~3ヵ月、テレビをつけるとコロナの道一色で、それなりに見ていますが、どうも腑に落ちないのは、「農業」の話がほとんど出てこない。農作業は不要不急の外出には当たらないからでしょうが、その例にも出てこない。医療従事者はもとより、介護関係、流通関係、生活必需品の小売りへの応援や感謝は多く語られているけれど、食料を作る人、一次産業関係者へはなにもない。ほんと不思議です。フランスでは、大統領が休業中の人は農家の手伝いをと呼びかけたという報道があったと耳にしました。コロナの世界的流行で、食糧生産への大打撃は、少し考えれば誰でもわかるはず。先日もインドが自国民の食糧確保のため穀物の輸出制限の検討を始めたという報道もありました。最大の感染数を出しているアメリカ、トランプさんは何のためらいもなく輸出制限を出すのは明らか。農作物はすぐできない。自給率の低い日本、まったく大丈夫ではないと思うのですが。

 

9月入学、新学期は本当に良いのか? 学校の休校が長引く中で、飛び出した9月入学、新学期案。欧米、世界基準が9月だから、留学や受け入れがしやすいということで、賛成多数のようです。明治の初めにも、実績があるとか。そんな短絡的なことで、良いのでしょうか。これまでそれほど支障があったのでしょうか?私は今の4月入学、新学期が日本の気候風土に合っていて、良いと思います。単なる感傷的なことではなく、草木が芽生え、生き物の動きが活発になる春から夏、その環境の中、子どもたちの新しい学びが始まり、ともに育つ。このことはすごく大きい。自然農場的に言えば、大切な主食、お米とともに育つ。子どもたちの生き物としてのいのち、こころの問題です。日本は自然環境に恵まれ、季節感に富んでいます。そうした気候風土の中で、文化、社会を形成してきました。そんな大切な特徴を忘れてしまってよいのでしょうか。自然から離れて暮らす街の人、政治家はすっかり忘れています。「新しい“里山的”暮らし方、生き方の提案」、里山倶楽部の思いとは大きなギャップです。9月入学は欧米の気候風土の中で生まれたもの。今回のコロナ問題でもグローバル化やサプライズチェーンの見直しが語られる中、まさに逆行しています。環境教育の分野では持続可能な社会(ESD)、SDGsへと視点を進めています。そこで重視していることは、多様性の尊重です。多少の学びの遅れ、不足など何てことはない。個人の存在、営みは小さくても、本質をみて暮らしていきたいですね。

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