里山倶楽部自然農場日記1月号 NO144

2020.12.26


人参

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

昨年12月2日、「コロナ」や「桜」で大騒ぎになっている臨時国会で、どさくさに紛れて農家だけでなく消費者にとって看過できない法律が通りました。その名も「種苗法改定案」。もともともと種苗法は新しい品種の「知的財産権を守る」ことを目的にした法律でした。開発者が農林水産省に出願して登録されれば著作権と同じように保護されます。ただし、農家が種苗として使うための「自家増殖」は例外として認められてきました。ところが今回の改定案は自家増殖を認める条項を削除して、農家であっても登録された品種は許可なしに自家増殖してはいけないことになりました。登録された種苗を農家が許可を得るには許諾料を支払わねばなりません。零細な農家には無理です。

農水省は日本で開発された優良品種の海外流出を防ぐための改定案だと言います。代表例として日本で開発されたブドウの「シャインマスカット」が韓国などで栽培されていることを挙げています。他イチゴ等もあります。そう言われると「確かにその通りだ。日本の種苗の海外流出を防ぐためにはやむを得ない。」と思ってしまいます。海外に流出したのは日本の農家だ。だから農家の自家増殖は認めないという論法です。でも種苗法はそもそも日本の国内法です。海外に日本の物だと主張するには海外で品種登録をするしかないというのが識者の意見です。日本政府はそれを怠ってきました。

要するにこの海外流出論は、農家から反発を受けそうな自家増殖規制から目をそらすための煙幕、後付けの説明、ごまかしの説明というわけです。

ではなぜ政府はこんな農家いじめの法律を姑息な手段を使ってまでやるのでしょうか?

その答えを出す前に、今から3年前、「種子法」が廃止されました。実は「種子法廃止」と「種苗法改悪」はセットなのです。

種子法廃止はどんなねらいがあったのか?種子法の正式名称は「主要農作物種子法」というのだそうです。米、麦、大豆の主要食糧の優良種子を安定的に供給するための開発、普及は各都道府県の責任でやりなさいというのがこの法律の趣旨でした。ところが政府は「種子法があるから民間の参入が阻害されている」という理由でこの法律を廃止したのです。長年かけて各地方自治体の農業試験場などで蓄積されてきた技術を民間に渡しなさいという事なんです。では民間て一体誰なんでしょう?まず浮かんでくるのが種子・農薬多国籍企業、モンサントに代表される企業です。「種子を制するものは世界を制する」という言葉通り、種子を独占し、それを買わないと生産・消費ができないようにしてもうけることを行動原理にしています。

食の安全にとっても大きな問題ありです。国は種子・農薬多国籍企業が遺伝子組み換え作物の種子とセットで販売している除草剤(グリホサート)の残留基準を大幅に緩和しました。また23年4月からは「遺伝子組み換えでない」という表示も禁止されます。

農業だけでなく国が一貫してやってきたのが民営化、新自由主義、自己責任。その結果が弱肉強食の世界で、勝ったものと負けたものとの貧富の格差です。上記の二つの法律の変更は国連が提唱している「家族農業」とは全く相反する方向です。

種子は農業者が莫大なコストをかけて、連綿と引き継いできたものです。国民の共有財産である種子を一部の企業のもうけの道具にさせてはいけません。

 

かずみの農感記

 

やっと本格的な寒さがやってきました。日中お日様が照っているときはポカポカ心地よいのですが、北風か吹いているときは特に寒さを感じます。

朝、農場に来ると朝霜が降りている日も多くなりました。

畑一面が真っ白になり凍った野菜がとてもきれいです。こんな日は朝一番の収穫が難しいです。

霜が降りると野菜が寒さに負けないよう頑張って糖分を出すので、今までよりいっそう甘みが増します。

これから冬野菜がどんどん美味しくなりますよ!

 

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