11月17日今期のスモールファーム自給塾が終了しました。思えば4月7日に第1回、途中2回の特別講座を追加して計10回の自給塾でした。
メンバーは高校生1人、大学生1人(昆虫博士の卵)を含めて8人でスタートしました。夏に高校生は部活が忙しいという事でリタイアしましたが、7人が最後まで熱心に参加されました。スタッフは私を含めて5人。
スモールファーム自給塾は「先が見えない不安な時代、他に頼らず自分の家族は自分で守る。一切の化学肥料や農薬を使わず、子供たちが安心して食べられるお米、野菜作りを学ぶ。」をコンセプトに毎年開かれています。今年で4年になりました。
世界はトランプをはじめとして自国第一主義、保護貿易主義、移民排斥、結果として右翼の台頭。世界の歴史は大きな転換点をむかえつつあるのは誰が見ても分かるでしょう。日本も遅かれ早かれその大嵐に巻き込まれていくのは必然です。今大事なのはその嵐に対してどんな心構えを持っているか、具体的にそれに対してどんな生きる術を持っているか、さらにどんな未来を望んでいるのかが問われているのです。
最終日のテーマは里山の農家Kさん宅に伺って里山の暮らしを学びました。そこで自分たちで作った野菜でお鍋をする。自分たちで作ったお米を羽釜で炊いて食べる…です。
まず朝一番に自給農園で自分たちが育てた野菜の収穫をしました。大根、かぶ、人参、しろな、春菊、長ネギ、大和真菜、等盛りだくさん。Kお母さんの指導の下お鍋を作る組と、薪をたいてご飯を作る組に分かれました。そして「いただきます!」その後は「おいしい!おいしい!」の声が部屋中に。どの顔も笑顔、笑顔・・・。まさにこれぞ「地上天国」というべき。
その時のSさんの感想・・・「身近でとれた物を調理して食べる充実感を改めて味わいました。それは自分の生活を自分で建てている実感だったと思います。少し前までの日本人は皆こうやって食べる分を作り工夫して生活していたのだと思いそれが学べて嬉しかったです。」
自分で作って自分で食べる。あたり前のことですよね。現代はそのあたり前のことがあたり前でなく貴重な体験になってしまっているのです。
午後はKさんご夫妻から持尾の村の様子や暮らしのお話を聞いた後、塾生が作ったお米のワラを利用してわらなえを教えてもらって、お正月のしめ縄作りをしました。お米の種まきから始めて、お米を作り、できた藁をしめ縄として利用する。まさにお米作りの完結です。
Dさんの感想・・・「育てた物を食べるうれしさはとてもいいものだと思います。お釜のご飯のおいしさ。その稲を使ったしめ縄作りも楽しかった。これが最後とは思えません。この体験を何に活かそうか。これからどうしようか、これからもう少し考えたいです。(じゅんかん-つながる)みなさんありがとうございました。」
先日1期生のFさんに会いました。仕事を辞めていよいよ専業農家の仲間に入ることになったとのこと。畑も見つかり、素敵な連れ合いも見つかって二人で始めるのだそうです。振り返ってみれば、農場の研修生も含めて3人もの有機の専業農家が誕生しました。そして10人近くの方々が家庭菜園を始めておられます。またそのうちの半数くらいの方が里山の放棄田を利用されています。スモールファーム自給塾の理念にそって着々と家族農業が増えています。これはすごい事です。自然農場日記4月号NO111をご覧ください。国連の提案を待つまでもなく、狭い国土の日本が生き延びる道は家族農業なのです。可能な限りできるだけ自給自足を目指しましょう。自給自足とは自分で物を作って自足するだけではありません。そのこころは「自立」なのです。自給自足=自立 何にも頼らず、何もあてにせず、何からも支配されない。そんな生き方を目指す時が来たようです。(あくまで心構えを言ってるのであって一匹オオカミになれという事ではありません。誤解しませんように!)
塾生の皆さんありがとう。スタッフの皆さんありがとう。同じ心ざしを持った人間と尊い時間を過ごせたことは私の忘れられない思い出として残るでしょう。来期のスモールファーム自給塾がどんなドラマを見せてくれるのか今からワクワクしています。
今年一年ご愛読いただきありがとうございました。来年はスモールファーム自給塾をさらに発展させた新しい企画を考えています。
たまちゃんのつぶやき
空気がりんと冷たくなってきました。私が勝手に「雪虫」とよんでいる小さなフワフワした虫も飛んできて冬になるなぁと思うのですが、かぶについたダイコンサルハムシという虫は元気で天王寺かぶらの間引き菜がすっかりレースに…急きょ葉をつけずに小さなカブだけのお届けです…。お味噌汁などにお使い下さい。ししとうやピーマンなど夏よりもなぜかこの時期にしっかり実ってくれてがんばってくれています。でももうすぐ霜が降ります。霜が降りたら夏野菜の終わりです。また来年会いましょう。