里山倶楽部自然農場日記12月号 NO143

2020.11.29


イノシシ

あっという間に2020年が終わろうとしています。今年もたくさんのドラマがありました。(一つ一つの野菜の種類ごとに大なり小なりドラマがある。)

 

一番大きな社会的な問題はコロナでした。里山での農業にはほとんど影響はなかったのですが、スモールファーム自給塾は大いに振り回されました。一時は今年度の塾は無理かなと思われるほど厳しい判断を迫られましたが、1回目の塾の開校式を2班に分けるなど何とか工夫してしのぎました。その塾もあと1回を残して終了します。今年の塾生はそんなこともあってかとても熱心でした。里山での農業体験の素晴らしさを心から感じたのでしょう。今年の塾生にとっては忘れられないスモールファーム自給塾になったようです。

 

天候では7月は雨につぐ雨。その雨で大きな痛手をこうむったのがナス、ピーマン、トマト、ミニトマト。ナスやピーマンは水分が必要な野菜なんですが、ナスは実が水分を吸収し過ぎて腐り、ピーマンは根腐れしかけているところに強風であおられてあっという間に枯れてしまいました。トマト、ミニトマトは実が破裂したものが続出。一時は収穫の3分の2を廃棄することもありました。残ったトマトも水っぽくて美味しくない。

 

8月は逆に一滴の雨も降らない干ばつ。乾燥を好むサツマイモが水不足の為に葉が黄色く変色。このまま枯れてしまうのでは?というダメージをうけました。9月に入って台風が到来。台風による雨でやっと復活してくれました。でもその影響で発育が遅れ、できた芋は例年に比べると小ぶりの芋が多かったです。その上後述しますが、イノシシにかなり食害されて収量は大幅にダウンしました。8月1日に種をまいた人参は毎日水やりしたにもかかわらずとうとう発芽してくれませんでした。

厳しい自然の中で雨にも負けず、干ばつにも負けずに毎日毎日実を提供し続けてくれたのがオクラです。最後には私が収穫できないほどの高さにまで成長しました。私とオクラの相性の良さは今年も健在でした。

 

次に困ったのがイノシシ。今年はどういうわけか、数が半端ないくらい多い。しかも白昼堂々道路を悠々と歩いているんです。日によっては3回も見たことがありました。去年までは昼間イノシシを見ることは滅多にありません。イノシシは夜行性の動物、と思われている方が多いようです。違います。昼間は人間が怖くて行動できず、夜行動せざるを得なかったのです(去年までは)。さらに困ったことに、イノシシが畑、田んぼに侵入しないように電気柵を設置してるのですが、その電気柵を突破して侵入してくるのです。電気柵には5000ボルト前後の高圧な電流が流れているのですが物ともしません。電気柵は2本の線で(地面から20cmの間隔で)できています。イノシシは鼻を先にして獲物を探します。その鼻が電気柵の線に触れるとショックで田畑の中には入りません。ところが今年のイノシシたちは一番下の線をくぐって侵入するか、2本の線の間をくぐりぬけて侵入するようです。下の線をくぐり抜けるのがウリ坊。間を抜けるのがウリ坊と大人の間くらいの若いイノシシ、大人のイノシシは2本線の上の線にあたるようで侵入してないようです。ここまで分かるのに大変な時間を費やしました。その結果、農場が出した結論は2本の線から3本の線にすることでした。今のところ3本にしたところは何とか侵入を防いでいるようです。

今年は稲刈りの前くらいから農作業の3分の1の時間はイノシシ対策に追われました。まだまだイノシシとの知恵比べは続きそうです。

 

お米に取り付いたウンカも今年の大きな話題でした。詳しくは先月号ご覧ください。

 

農業をやってると毎日の変化が多すぎて心休まる暇がありません。今年もあたふたと歳をとってしまいました。

来年もどんな年になるのやら、期待半分、不安半分。

 

今年1年農場日記ご愛読ありがとうございました。

 

皆様良いお年をお迎えください。

 

鈴木

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