里山倶楽部自然農場日記3月号 NO146

2021.3.2


どじょう

久しぶりに農場の近況を報告させていただきます。

 

自然農場日記NO126を見て下さい。NO126は過労の為に非業の死を遂げたSさんの話しです。その後どういうめぐりあわせか、Sさんが耕作していた農地を借りてくれる人がいないかと地主さんが探しているというお話が入ってきました。そのお話が入った瞬間強く感じたのです。「Sさんの思いを」。何としても彼の農に対するあふれるばかりの思いを継いでいきたい。とはいうもののその農地はおよそ5反もある。そんな広い農地を果たして管理できるのか?お借りした以上草刈りをはじめとして農地を農地として保全していかねばなりません。悩みました。でも最初に感じてしまった思いをどうしても捨て切ることが出来なかったのです。そのために今ある耕作地を減らすことにしました。簡単に減らすといっても見込み通りに事は進まないのが世の常。ところが1反半ある農地を長年農場のスタッフとして協力してくれたMさんが独立したいという事でMさんが引き継いでくれました。また5畝ほどの別の農地はスモールファーム自給塾の卒業生Sさんが家庭菜園をしたいと。とんとんと話が進み、思いがかなってその5反の農地を借りることが出来たのです。結果的には別井(地名)の農地3反ほどとこの新しい農地の二つに集約されたのです。さらに加えて上河内(地名)の農地を今年いっぱいで地主さんの都合で返却しなければならなくなり、ますますこのSさんの農地の重要度が増してきました。結果的にSさんの耕作していた農地を借りることによりSさんの思いを継ぐことが出来たのです。

新しく借りた滝谷の畑と別井の畑の2ヶ所が中心になりました。おもに2カ所に集約された形になり、作業効率のアップが期待されます。

 

今年の冬野菜の出来栄えは最高でした。人参からお話すると、今年の人参は割れや虫害がほとんど無く、変形も少ないのが特徴でした。例年ですとジュース用人参が沢山できるのに今年はA級の立派な人参ばかり。こんなことは私の農業人生で始めてです。思えば8月の暑い盛りに1回目の人参の種をまきましたが、なんぼ水やりしても全く発芽しないという嫌なスタートを切った人参。今年はどうなるか不安いっぱいでスタートした人参栽培。ところが2回目3回目にまいた種は見事に発芽しただけでなくどれもこれも立派な人参に育ってくれました。その人参もたくさんの人に食べていただき、そろそろ終わりに近付きました。

次にとても立派に育ってくれたのがハクサイ。新しく借りたところで栽培したところ少々虫害には苦しみましたが、これが有機のハクサイですか?とビックリするような大きなハクサイが育ちました。無農薬では難しいハクサイがなぜうまくいったのかは自然農場日記のNO121をご覧ください。冬野菜の王様、お鍋には欠かせないハクサイを食べていただけたのは無農薬農家冥利に尽きます。

冬野菜で私の苦手の野菜があります。それは春菊と水菜です。どんなことにも人間理由なく得て不得手があります。前述したハクサイはなぜ難しいのかは分かりますが、春菊、水菜はなぜ不得手なのか分かりません。何となくうまくいかないのです。ところが今年は様子が一変。冬の間ズーッとお客様に食べていただいてます。お客様ももういい加減にしてよと思っておられるに違いありません。

白ネギ、レンコン、菊芋、里芋、大浦太ごぼう等嬉しい悲鳴でした。唯一大失敗したのが田辺大根。虫害で消えてしまいました。

 

私が10年以上前に始めた畑土と現在の畑土とは雲泥の差です。当時の畑は水はけが悪く15馬力のトラクターが泥にはまって動けなくなってしまう場所が何カ所かありました。その後10年、EMボカシを投入し続けた結果今ではトラクターがはまるなんてことはありません。土が良い方に変化したおかげで今年の冬の大豊作につながったのでしょう。それともSさんが後押ししてくれた?

どちらにしても感謝です。いよいよ始まった夏野菜に繋いでいけたらいいですね。

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